暮らしを彩るアンティーク陶磁器 ~ヨーロッパの食器の歴史~

人々にとって必要である食事を、より楽しく、より優雅にしてくれる存在が食器です。

アンティークはあまり手にしたことはない、という方でも、暮らしに取り入れやすいものでもあります。

今回はテーブルに登場した時代から人々を魅了してきた、アンティーク陶磁器の食器についてご紹介します。

ヨーロッパの食器の歴史

ヨーロッパで食器が重要性を持ち始めたのは、中世の時代になります。

裕福な人々は食にこだわりを持ち始め、食器も重要な地位を占めることとなりました。

美しく高価な食器を用いてゲストをもてなすことは、その家の主人の富と名誉、地位を示す意味がありました。

食器は昔から、「食べ物のために使う容器」を超えた存在でもあったのです。

ヨーロッパの食習慣を変えたルイ14世

ブルボン朝第3代フランス国王であったルイ14世は、ヨーロッパの食文化を変えた人物でもありました。

彼は食に関し費用を惜しむことなく、過剰と言えるほど絢爛豪華な食事を用意するよう命じました。

ルイ14世の夕食の数は20種類、4つの異なるコースで構成されていたと言われています。

これらの豪勢な食事を盛りつける食器も細心の注意が払われ、その風習はヨーロッパの他の国々へ伝わって行きました。

食事を提供するスタイルの変化

ヨーロッパやアメリカのテーブルセッティングには、ふたつのスタイルがあるのをご存知でしょうか。

ひとつはそれまでの主流であった「フランス式サービス」です。

これはテーブルの上に食器や料理が用意されており、好きなものを選んで食べるスタイルです。

一方、召使によって料理が盛られた食器がひとつずつテーブルにサーブされるスタイルは「ロシア式サービス」と呼ばれています。

「ロシア式サービス」はテーブルにセンターピースや花やキャンドルなどを置くスペースができ、料理が温かいまま出せるなどの理由で、19世紀半ばまでに「フランス式サービス」の人気を超えることとなりました。

現代でもロシア式サービスはレストランで、フランス式サービスは家庭でと、そのスタイルは定着しています。

イギリスの食文化が発展したヴィクトリア朝時代

ヴィクトリア女王が統治していた1837年~1901年は、イギリスの食文化が大きく開花した時代です。

経済的繁栄に伴い、地位と名誉を証明したいという欲求が裕福な人々に芽生え、ディナーパーティーはそれを誇示する絶好の機会となりました。

豪華な食べ物が振る舞われ、食器もそれに合わせて使用される数は膨大なものとなっていったのです。

伝統的な夕食は14コース以上、通常は7コースメニューとなり、前菜の牡蠣のためのプレートや、アスパラガス専用の皿など、想像できるすべての料理のための食器類が用意されました。

食卓を際立たせるダイニングルーム

ゲストを招くダイニングルームも豪華さを極め、人数に似合った大きなダイニングテーブルやチェアがセッティングされました。

そしてディナーパーティーで大きな役割を果たしたのがサイドボードです。

食器やカトラリーを保管するだけでなく、温かい肉を召使がここで切り分けることもありました。

この時代のサイドボードには鏡が付いているデザインのものが多く存在しますが、これは美しくきらびやかなディナーを映し出す絶好のアイテムだったのです。

簡略化される食事とともに

ヨーロッパの陶器メーカーの発展と産業革命が起こったことにより、上流階級だけでなく一般の人々も、必要な数の食器を取りそろえることが可能となりました。

しかしながら、家庭で所有する食器の数は1920年以降は減少する傾向にありました。

1950年以降から何コースもの異なるサイズの食器を持つ家庭は少なくなっていきます。

これは調理は簡単なものが好まれ、食生活がシンプルになったことの結果だと言えるでしょう。

それを反映してか、1950年代後半にアメリカで販売された食器の25%はプラスティック製だったそうです。

住まいもかたちを変えて

それまでは欧米の住まいはキッチン、ダイニングルーム、シッティングルームと呼ばれるリビングルームは別々に分かれていました。

しかし食文化の変化とともに、人々はキッチンやパティオなどで簡単な食事をすることが多くなり、ダイニングルームは特別な食事のときだけに使用することとなりました。

このように滅多に使われないダイニングルームがあることは非効率的だと考えられ、1960年代以降にアメリカの郊外では、リビングとダイニングがひとつの部屋となって設計されることが多くなっていったのです。

時代を超えて愛されるアンティーク食器

調理や食事の簡略化で食文化に関するものも、大きな変化を遂げることとなりました。

しかしエレガントな陶磁器の食器は姿を消したわけではなく、世界中で依然として高い人気を誇っています。

それはアンティーク陶磁器の食器にも同じことが言えるでしょう。

優雅なアンティーク陶磁器の食器は眺めるだけでなく、今もなお食卓に載せて料理を盛りつけ、実際に楽しめる喜びがあります。

心を込めた料理をお気に入りのアンティーク陶磁器の食器に盛って、テーブルで楽しんでみてはいかがでしょうか。

大切な人との特別な時間を、きっと美しく彩ってくれることでしょう。

↓アンティークショップEglantyne(エグランティーヌ)はこちらから↓

最新情報をチェックしよう!