お気に入りのアンティーク陶磁器のカップやソーサーを眺めていると、これらは一体いつ、どこで作られたものだろうと興味を持つことはありませんか?
アンティークと言われたけど、何年ぐらい前のもの? どこの国で生産されたもの?
美しく優雅なアンティーク陶磁器をより深く理解するために、今回はアンティークのカップ&ソーサーの見分け方をご紹介します。
アンティーク陶磁器のマーク
カップやソーサーを裏返すと、そこにはシンボルマークや数字、文字が明記してあり、印刷であったり手描きや浮き彫りになっていたりします。
これはバックスタンプと呼ばれており、カップ&ソーサーの陶器メーカー、生産された時代、登録された年代などを判別することができます。
基本のマークを覚えて
各陶器メーカーは異なるマークを使用しており、数年ごとにスタンプを変更することもあるため、プロのアンティークディーラーですら、全てを把握するのは不可能と言われています。
そのため、各メーカーはパターンブックでバックスタンプを説明していますが、アンティーク陶磁器には基本のマークがあり、これらから作成された時代を読み取ることができます。
ここでは初めての方でも分かりやすい、バックスタンプの簡単な見分け方をご説明します。
初期のバックスタンプ
現在では当たり前となった陶磁器のバックスタンプですが、ヨーロッパで紅茶・コーヒーが広まった時代にはそうではありませんでした。
初期の時代のカップ&ソーサーの多くはマークがなく、どの国の、どの工場で作られたものなのかを特定するのは困難なものも存在します。
また自社で生産したものを、東洋から輸入されたカップ&ソーサーと思わせるため、中国や日本のマークを模倣して付けるメーカーもありました。
さらに他の会社のマークをそのままコピーするメーカーさえあったため、識別が難しいものも数多くあるのです。
バックスタンプの始まり
陶器メーカーがカップ&ソーサーにバックスタンプを記すようになったのは、1780年代です。
これは元々、メーカーがデザインを把握し、破損してしまったものを交換する必要がある際、パターンを識別する役割だったと言われています。
また、当時のメーカーの労働者たちは、完成品にのみ給与が支払われることが多かったため、生産した個人やグループが判別できるように記されていたそうです。
バックスタンプから生産された時代を探る
アンティークのカップ&ソーサーの裏面のマークが小さく手描きのものは、1800年代以前に作られた可能性が高く、またイニシャルや名前が明記されている場合も、非常に古い時代に生産されています。
また、19世紀に君主によって付与された「Royal Arms」はメーカー名のあとに記され、1800年以降の作品であると言われています。
描かれた文字の意味を知る
バックスタンプの色にも注目してみましょう。青色以外の色で印刷、刻印されているマークを持つカップ&ソーサーは、1850年以降に作成されています。
同じように、メーカー名の前に「Royal」という文字が記されていた場合も、1850年以降の生産となります。
菱形の中央に登録済みであることを示す、「Rd」と描かれたデザインのマークは、1842年から1883年にかけて使用されています。
登録された日付を知る
のちにこの番号は1884年より、「Rd No. 10001」 のように記されるようになりました。
これによって登録の日づけとメーカーに関する情報が判読できるようになっています。
番号が1~351,600までの場合、そのカップやソーサーは1884年から1900年の間に登録されています。
これよりも大きな数字の場合は、登録されたのは1900年以降となります。
法によって変化するバックスタンプ
有限責任会社による表示の法律が可決され、1860年以降の作品は「Limited」もしくは「Ltd」というマークが記されるようになりました。
商標を示すことが義務付けられた1862年以降の陶磁器には、「Trade Mark」というマークが見られます。
また、マッキンリー関税法により、アメリカへの輸入製品には原産国を表示することが義務付けられました。
よって国名がバックスタンプにあるカップ&ソーサーは、1891年以降の生産となります。
「England」と「Made in England」の違い
しかしイギリスではそれよりも以前に国名を表示しているものがあり、「England」と記されているものは1850年以降の可能性も含まれます。
なお、「Made in England」と記されているのは1920年前後以降に生産されており、「English Bone China」や「Bone China」と記されているものは20世紀以降の生産となります。
アンティークのカップ&ソーサーから広がる楽しみ
アンティーク陶磁器はさまざまな魅力に満ちていますが、作られた時代を知ることもそのひとつではないでしょうか。
大切なカップやソーサーがいつ、どこで生産されたのか、そしてその時代にその国で何が起きていたのか。
一客のカップ&ソーサーの背景を知ることで知識は広がっていき、よりいっそうアンティーク陶磁器を楽しめることとなるでしょう。
↓アンティークショップEglantyne(エグランティーヌ)はこちらから↓