アンティークレースの種類 ~刺繍レース~

丹精込めて作られた、きめ細やかで繊細なアンティークレースは時代を超えて人々の心をとらえて来た珠玉の工芸品です。

人の手によって作られたとは思えないほど精巧なもの、ゴージャスでエレガントなもの、シンプルで素朴だけれども可憐なものなど、歴史と流行によって作り方やスタイルが変化したアンティークレース。

それらの手法はどのように始まり、そして発展を遂げていったのでしょうか。ここではヨーロッパのアンティークの中でも人気の高いレースの種類について、ご紹介して行きます。

アンティークレースの種類

アンティークレースを手に取ると、デザインや織り方が多種多様であるのに気づくと思います。

レースには時代や地域によってさまざまな手法で作られており、デザインやスタイル、さらに用途も異なるものが広く存在しています。

レースは多くがその発祥の地方や村、街の名前が名称となっています。そしてレースは作られた手法によって、種類を分類することができるのです。

ハンドメイドのレースは、基本的にふたつのタイプに分けられます。針と糸を使い、刺繍を用いてレースを作る「ニードルポイント・レース」と、ボビンとピローを使い多数の糸を用いて織る「ボビン・レース」です。

「レース」の由来

もともと、レースはラテン語の「Laqueus=縄」を由来としています。この「縄」とはロープを編んで出来た輪や紐、または糸で囲まれた穴のことを指し、レースとは「糸で囲まれた多くの穴」でできたものを意味しています。

それはハンドメイドであっても機械によって作られたものであっても、亜麻糸や絹、金や銀、コットンやモヘア、またはアロエ糸などを使って出来た、輪や編んだもの、ねじれや結び目などによって形成された、装飾用の透かし織りのすべてを「レース」という総称で読んでいます。

今日知られているレースは、16世紀に手縫いと手織りで作られたリネンの装飾として歴史が始まりました。今回はレースの始まりとして知られる「刺繍レース」についてご紹介します。

「刺繍レース」とは

ハンドメイドのレース手法は「ニードルポイント・レース」と「ボビン・レース」の2種類に分かれますが、その始まりに「刺繍レース」があります。

これは布地やネットをベースに使い、針と糸に用いてレース模様を作っていく手法です。これが進化し、始まりは聖職者たちのためのものから、のちに王室貴族を始め上流階級の人々の心を虜にした、レースのさまざまな技法が生み出されていくようになりました。

カットワーク

ニードルポイント・レースの基礎となった手法が、刺繍レースとして16世紀にヴェネツィアで生まれたカットワークです。

リネンに穴を開けて白い糸で刺繍を施す手法で、リネンは手織りで作られました。

立体感のある華やかな模様が施されたカットワークは、衣類の袖や襟、または寝具などに使われ、これがのちに発展を遂げてニードル・レースにさまざまな種類が生まれることとなりました。

ドロンワーク

ドロンワークは刺繍レースのひとつで、布にステッチをしたり、糸を部分的に引き抜いて残りの糸をかがったりして、布地に模様を描く手法です。

手紡ぎと手織りのリネンを使用し、刺繍糸は白や赤、黒などの絹の用いています。初期のドロンワークは天使や神聖な動物、木々などがデザインに使われています。

フィレ・レースとブラトー・レース

フィレ・レースとブラトー・レースはどちらも16世紀に始まり、初期の刺繍レースとして知られています。

フィレ・レースは漁師が使う網と同じようにネットを手織りで作成し、そこに刺繍で模様を描いたレースです。

通常正方形で作られましたが、かがり縫いを行いダイアモンド型も作成されています。糸の太さを変えて、影の効果を生み出すこともできました。

ブラトー・レースは織られたネットに刺繍を施すレースです。フィレ・レースとよく似た手法ですが生産はより速くなり、使用されるネットの性質によって外観は重くなる傾向がありました。

進化し続けるレースの技法

レースは時代とともにその手法を変え、さまざまな種類が生まれる事になりました。どのスタイルのレースを見ても、そこには作り手の多大なる努力を感じられるものばかりです。

次回は初期の刺繍レースから優雅に進化した「ニードルポイント・レース」についてご紹介します。

↓アンティークショップEglantyne(エグランティーヌ)はこちらから↓

最新情報をチェックしよう!