アンティークドールの魅力を探る ~少女たちを魅了した人形の歴史~

幼いころ夢中になり、いつのまにか手放してしまった数々の人形。それらは大人になった人々を、再び魅了する力を持っています。

長い歴史を持つ人形は、姿かたちを変えながら今もなお、多くの人々の心をとらえ続けています。

人形はなぜ子どもたちの最も親しい友人となり、どのように発展していったのでしょうか。

今回は不思議な魅力を持つ人形の歴史をご紹介します。

人形の歴史の始まり

人形の歴史は古く、最初に記録されているのは古代エジプト時代と言われています。

その時代、人形は魔術的要素を持っていたり、宗教的な供物として、あるいは子ども用のおもちゃとして扱われており、多くは所有者とともに墓に葬られたものが発掘されています。

紀元前2000年の古代エジプトの墓で発見された、パドル人形は最も古い人形のひとつと言われています。

パドル人形は腰と髪の毛が強調されている女性を表した木製の人形で、点や線などの幾何学模様が描かれていました。

現在の人形に通じるフォルム

古代ギリシャ時代には既に可動式の手足を持ち、衣服を着脱することができる人形が発掘されています。

それらは紐状のもので接合し、肩や腰に関節が備え付けられているもので、現代の人形に通じるものでした。

古代ギリシャ時代やローマ時代には少女たちは12歳で結婚する際に、人形とその衣装を女神に捧げたと言われています。

この時代の人形は、粘土や木、骨や象牙、ロウや革など入手可能な材料で作成されていました。

人形の多くは裕福な階級の子どもの墓で見つかっており、来世で役立つ召使いの代用品として葬られたのではないかと言われています。

布製の人形、ラグドール

今も親しまれている布製の人形はラグドールと呼ばれ、ローマ時代には一般的であったと言われています。

残念ながら、埋葬の儀式の衰退から人形の歴史は一旦途絶え、次に記録されているのは中世以降になります。

この時代、貧しい家庭では母親が不要な布や木切れで作った人形を子どもに与えたり、冬の間に木の人形を彫った農民が、家を訪問して人形を販売していたと伝えられています。

ラグドールの歴史はあまり残されていませんが、これらの人形は子どもたちの最初のおもちゃとしてとても大切にされ、人形が壊れてしまうまで、世代を超えて受け継がれていたそうです。

重要素材であった木で作られた人形

ヨーロッパの最も古い人形は粘土を素材に、13世紀のドイツで作られています。やがて木製の人形が、15世紀にドイツ、オランダで同時期に作成され始めました。

木で作られたペグドールと呼ばれた人形は、洗濯ばさみのような形状をしており、安価で簡単に作ることができました。

そのため、ペグドールは16世紀からヨーロッパの貧しい子どもたちにとても人気があったと言われています。

この時代から19世紀ごろまで木材は長い間、人形作りにおける最も重要な素材でした。

中央ヨーロッパの森林は上質の木材をふんだんに提供できたため、特にドイツは長い間、人形の生産地として知られるようになりました。

16世紀のフランスでは流行の服を着た人形が作成されましたが、本体は雑に作られていることが多かったようです。

リアルに、そして豪奢に

木材の代替品が登場したのは、18世紀から19世紀にかけてです。パルプ化された木材や紙の混合物で構成され、人形の頭や体を作るために使用されました。

のちに革やワックス、磁器などの素材と組み合わさり、人形はより美しく発展を遂げることになりました。

19世紀中ごろになると、磁器でできた人形が登場します。ビスクドールなどの精巧で豪奢な人形は、上流階級の人々を虜にしました。

ぬいぐるみは19世紀終わりごろに登場し、かつて不要な布で作られたラグドールとは違い、毛皮のような豪華な生地で作られていました。なお、テディベアは20世紀初頭に生産が開始されています。

現代の人形への移り変わり

19世紀半ばまでの人形は女性の姿で作成されていましたが、19世紀後半までには赤ちゃん、もしくは子どもの姿を模った人形が人気を集めます。

同じ時代に登場したファッションドールは、初期は磁器で作られていましたが、やがてそれは当時流行のファッションを衣装とすることが強調され始めました。

現在でも高い人気を誇るバービー人形は、1959年に生産されています。1960年代には男の子向けの人形、アクションフィギュアが登場し、1990年代の初めにはカスタマイズできるフィギュアが人気を集めました。

このように人形は時代に合わせて姿を変えながらも、子どもたちはもちろん、大人までも夢中にさせる存在であり続けたのでした。

人形の秘密を解き明かして

常に子どもたちのそばにいて、大切な友人であった人形。それらは古代の時代から現代まで変わることなく、とても身近な存在であったに違いありません。

いつの間にか手放してしまった人形が、大人になるとまた違うかたちで人々を魅了するようになります。

ふと目が合ったときに、心をとらえて離さないアンティークドール。その歴史を知ることで、人形が持つ不思議な秘密を解き明かしてはいかがでしょうか。

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