アンティークレースの種類 ~ベルギーのボビンレース~

ヨーロッパの中でもその美しい街並みで有名なベルギーは、見どころがたくさんある魅力的な国です

そんなベルギーには多くの芸術品が生まれており、中でもヨーロッパの王侯貴族たちに愛された繊細なレースが数多く作り出されたのをご存知でしょうか。

今回は小さな工芸品のような国、ベルギーが生んだボビンレースの種類についてご紹介します。

ブリュッセル・レース

ブリュッセル・レースは都市の名前にちなんで名付けられ、ベルギーのさまざまな地域で生産されるレースを指し、17世紀後半にフランドルで作られた他のボビンレースとは区別されています。

ブリュッセル・レースの特徴は、モチーフと網地や下地部分が別々に作られている非連続糸方式であることです。最初にモチーフが作成され、次に下地やリゾー(網地部分)が追加されました。

ブリュッセル・レースはリゾーや下地、トワル(生地)やモチーフ、あるいはモチーフの輪郭を描く細い糸の欠如によって区別されています。

下地、もしくはリゾーには六角形や棒状の編み目、またはこのふたつがミックスされたものが見られます。

繊細で美しいブリュッセル・レース

ブリュッセル・レースはイギリスとフランスで非常に人気が高く、その繊細さと美しさで知られていました。

フランドルの時代から、ブリュッセル・レースは最高級のリネン糸のみで作られており、糸がもろくなるのを防ぐために、レースを編む若い女性たちは暗く湿った部屋で働かなくてはなりませんでした。

その部屋には一筋の光だけが許可されており、それは糸の上に落ちるように配置されていたそうです。

この細く繊細な糸は、のちにブリュッセル・レースが機械化されることを妨げた理由のひとつでもあり、非常に高価になった原因でもありました。

ブルージュ・フラワー・レース

ブルージュ・フラワー・レースはコットンで出来た白く細やかなレースです。ブリュッセル・レースのひとつとしてそれは部分別に作られ、のちに結合されてレース全体が完成しました。

ブルージュ・フラワー・レースの特徴は、その大胆で華やかなデザインです。大きく開いた花や細長いシロツメクサのような三つ葉の葉、種子のサヤなどで構成されており、モチーフが太い糸で縁取られていることもあります。

ブルージュのレースには2つのタイプがあり、ひとつはより細やかなもの、もうひとつは粗いタイプです。細やかなものは衣類やベールなどに使用され、粗いものは室内装飾に活用されました。

粗いタイプのレースは手入れが簡単であり、かたちや質を損なうことなく高温で洗ったり漂白することができました。

デュシェス・レース

デュシェス・レースは19世紀半ばからブリュッセルとブルージュで生産されたレースです。

「公爵夫人」という意味を持つその名前は、ブラバン侯爵夫人であり、のちにベルギー王妃となった、レース産業を推奨したマリー・アンリエットド・アブスブール=ロレーヌ にちなんで名付けられたと言われています。

デュシェス・レースはブリュッセル・レースよりも低価格でありながら、同じように大胆な花や葉、茎などのボタニカルなデザインが特徴的でした。

太い糸でモチーフを囲むために、デザインの縁や葉の静脈などが盛り上がっており、花の中心部が四角形に縁取られていることもあります。モチーフはメッシュではなく細い棒状で繋がれていました。

ブリュッセル・ミックス・レース

ブリュッセル・ミックス・レースは「ブリュッセル・デュシェス」と呼ばれたり、またデュシェス・レースと混同されることもあります。

ブリュッセル・ミックス・レースは19世紀後半から20世紀の初頭、ブリュッセルで最も繊細なレースと言われていたニードルポイント・レースの技法である、ポワン・ド・ガーズで作られた小さな花のモチーフが組み合わされているのが特徴です。

ロザリン・レース

ロザリン・レースは17世紀後半のベネチアン・ニードルポイント・レースから生まれ、19世紀半ばよりベルギーで新たに発展を遂げました。

小さなバラのつぼみをモチーフとしており、中央がパールのように盛り上がった形状はニードルポイント・パールと呼ばれ、このパールを用いたブリュッセルのバリエーションはロザリン・ペルレという別名が付いています。ブルージュで作られたものにはこのパールがありませんでした。

細かな模様と浮き上がったバラのつぼみがとても可憐で、繊細でフェミニンなイメージを持つレースです。

ヨーロッパを夢中にさせたベルギーレース

ベルギーの面積は30,688㎢、日本の約12分の1という大きさです。

ヨーロッパの中でも小さな国の中であるベルギーには、たくさんの訪れてみたい街、そして多くの芸術品があふれています。古くから歴史を持つアンティークレースもそのひとつと言えるでしょう。

ベルギーに訪れる機会がある方は、ぜひレースの魅力に触れてみてはいかがでしょうか。ヨーロッパの上流階級の人々を虜にしたその美しさにきっと魅了されることでしょう。

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